試行錯誤 ダイアグノシスを始めた訳③

2020/04/17

同規模マンションとの比較対比レポートという骨子は、既に決まっている。立地条件や敷地・建築面積、仕様の違いなどはあれど、同じような規模のマンションであれば、だいたい同じような収支になるからだ。だが、今ひとつ足りない。現状分析をして比較対比して改善策を示す。企業向けコンサルであれば、これで後はよろしくといった感じなのだろうが、マンションの管理組合向けのビジネスとしてはこれでは不親切という事なのだろう。

管理組合とは世にも不思議な組織である。理事長がリーダーシップを発揮して上意下達、なんて事はまずありえず、基本は総会による決定プロセスを要する。全てが合意形成優先の場であるが故に、提案があるときは必ず、決定に至るプロセス――もはやアリバイ作りともいうべき、丁寧なプロセスを経る必要があるのだ。そのくせ、大多数の組合員に良かれと思って提案しても将来の責任はとれないし、苦労して何かを改善したとしても直接的リターンは自分にはほとんどない。管理組合の運営に首を突っ込むという事は、個人として考えると労多くして得るもの少なく、基本は我関せず無関心を決め込むのが得策なのだ。そんなマインドを考えると、誰かがわかりやすく、説得力をもって推してくれるような仕組みにしないと、管理組合の現場にはなかなか受け入れてもらえないだろう。フロントマン時代も「管理会社の方がお勧めになるのなら」という理由で決定に至った事案もいくつもあった事だし。 現状の比較分析だけではなく試作レポートに足りないもの。それはやはり、何らかのお墨付きをつけて未来に向かっての安心度を評価する仕組み。誰もが気になる、将来に向けての安心度の評価をどうやってつけるか。現状の分析は出来る。未来の評価はどうやるか。そして評価の低いマンションをどうやってフォローするか。管理組合の方向をまとめて改善を促すようにするにはどうやれば良いのか。自問自答が続いた。