外部管理者方式等のガイドラインが出ました(今後の法制化も視野に)

カテゴリ:外部管理者管理(第三者管理)等 投稿日:2024.07.30

外部管理者方式等のガイドラインが策定されました

これまでのように区分所有者から理事長(=管理者)を選任するのとは異なり、マンション管理業者が管理者に就任するケースが見られるようになってきている現状を踏まえ、国交省は令和5年10月から令和6年3月まで、外部専門家等の活用のあり方に関するワーキンググループを開催してきました。

そして、この度、区分所有者以外の者が管理者に就任する方式について「外部管理者方式」(このうち、管理業者が管理者に就任する場合を「管理業者管理者方式」)と定義したうえ、外部管理者方式等においても、マンションの管理の主体は区分所有者から構成される管理組合であることを前提に、区分所有者がその責務を果たすべきことを確認するとともに、

外部管理者方式等における留意事項を整理したものとして「外部専門家の活用ガイドライン(平成29 年 6 月)」を再構成し、令和 6 年 6 月に「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」が制定されました。

(国交省「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドラインの概要」より抜粋)

ガイドラインでは、区分所有者以外の外部専門家等の活用が求められる背景がある一方で、マンション管理組合にとっては危惧すべき事象があること。そして、これを軽減するために必要な、外部専門家が管理者に就任する場合やマンション管理業者を管理者とする場合における諸々の留意事項について整理されています。

外部管理者方式等のニーズは確実に増えていく

区分所有者から管理者を選任しない外部管理者方式等ですが、実は、居住しない組合員が多いリゾートマンションやワンルーム投資用マンションなどでは、すでに外部管理者方式等による管理が主流と言えるほどです。

また、それ以外の、居住者の高齢化や建物老朽化が進むマンションでも、身体的な理由で理事役員を断る方が増えるほか、大規模修繕工事や建替えの検討を行うには大変な労力を伴うため、「外部の専門家に任せた方が楽!」と考える方は確実に増えていきます。さらには、マンション管理に時間をかけることは避けたいと考える若者世代も増えています。

このように、マンション管理組合の理事役員のなり手がない状況では、

  • 総会が成立しない(管理者不在なども)
  • 何も決められない(修繕できない)
  • 管理会社から「契約解除または管理者管理方式等へ変更」どちらかの申し入れ
  • 管理者管理方式等以外の選択肢がない

となっていくでしょう。

マンション管理の主要3パターン(国交省「マンション標準管理規約(別添1)」より抜粋)

また近年では、「理事会不要のマンション!」や「理事にならなくてOK!」を売り文句にしたマンションも登場しています。

この場合、「理事会運営型マンション」に変更するためには、

① 組合員の中に「第三者管理はやめるべきだ」と主張する方がでる

② 当期理事役員の半数以上、同じ考えの方がいる(半数いなければ相手にされない)

③ 組合員全員の半数以上、同じ考えの方がいるかアンケートなどで確認

④ 総会へ上程する

といった手続きが必要になってきますので、現実的には、初めから「外部管理者方式等のマンション」が「理事会運営型マンション」に変わる可能性はほぼゼロに近いと言えるでしょう。

なお、大手管理会社によるアンケート調査で、「管理組合役員(理事)になることは負担だと思いますか?」との問に対し、「92%が負担を感じる」と回答。理由は「煩わしい、面倒くさい」が最も多い回答でした。

さらに、「総会で理事会を廃止し、第三者(外部者)に理事会業務を委託する議案が上程されたら?」という問に対しては、「82%が賛成する」と回答があったようです。

これを見る限りでは、8割以上の方が外部管理者方式等に賛成していることになります。

※ただし、外部管理者方式等を導入する場合には、「外部管理者方式等による管理はいいことばかりではない」ことに注意してください。

ポイント1)まずは、あなたのマンションが「外部管理者方式等の管理が合うマンションなのか」をよく考える。

外部管理者方式等にはメリットもたくさんありますし、現実的に管理不全になってしまうマンションにとっては救済策となりますので、自力で出来ない組合は、第三者管理を入れることを検討しましょう。

ポイント2)信頼できる委託先さがす

誠実に行ってくれる管理会社や外部専門家もいます。信頼できる委託先を探す際には、外部管理者の暴走に対してどのような牽制機能があるのか、外部の監査が入るのか、修繕工事の発注プロセスは透明化されているのか、などを必ず確認しましょう。

外部管理者方式等の種類

・外部管理者方式等とは

「外部管理者方式」

マンション管理組合の「外部管理者方式」とは、区分所有者以外の者が管理者に就任する方式のことです。すなわち、マンション管理組合の運営を「外部」者に委ねることになります。

「管理業者管理者方式」

従来、この「外部」には、区分所有者以外の「外部」専門家が想定されていましたが、近年、既存マンションにおいて、役員の担い手不足等を背景として、マンション管理適正化法上の登録を受けた管理業者(以下「管理業者」という。)が管理事務を受託するのに加えて管理者として選任される事例や、新築マンションにおいて、管理業者が管理者に就任することを前提として分譲が行われる事例が出てきました。

そこで、令和 6 年 6 月に制定された「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」において、「外部管理者方式」のうち、「マンション管理業者」が管理者に就任する場合を「管理業者管理者方式」)とされました。

そして、これらが外部管理者方式「等」とされました。

なお、「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」では、第2章に「外部専門家」による外部管理者方式等における留意事項が、第3章に「マンション管理業者」による外部管理者方式 (管理業者管理者方式)における留意事項が記されています。

特に第3章では、今回のガイドラインで重点が置かれた「マンション管理業者による外部管理者方式(管理業者管理者方式)の適正な運営を担保し、管理組合に不利益が生じることを防ぐ観点」から、管理業者管理者方式において留意するべき事項や望ましい体制について規定されています。

(国交省「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドラインの概要」より抜粋)

・外部管理者方式等の種類

マンション管理組合の管理方式における主要3パターンは以下の表のようになります。

(「マンション標準管理規約」「別添1」(国交省)より抜粋)

すなわち、

これに補足すると、

従来通りに理事会を中心とした運営(左)。理事会は存在するものの管理者の運営を監視するものとして機能する(中)。理事会を廃止し、管理者が組合運営を行う(右)。3パターンとなります。

外部専門家の活用(管理業者管理者方式)が求められる理由

そもそも、マンション管理組合で外部専門家を役員等として活用することが求められる理由とは何なのでしょうか?

標準管理規約のコメントには、「近年、マンションの高経年化の進行等による管理の困難化やマンションの高層化・大規模化等による管理の高度化・複雑化が進んでおり、これらの課題への対応の一つとして、外部の専門家の活用が考えられる。以前から、管理組合がマンション管理士等の専門家に対し、相談、助言、指導その他の援助を求めることについては規定してきたが、さらに進んで、外部の専門家が直接管理組合の運営に携わることも想定する必要がある。」と記されています。

(国交省「築40年以上のマンションストック数の推移」より)

(国交省 令和5年度総合調査「階層別頭数」より)

また、その他にも、マンション管理に関する無関心派の増加、理事会活動等手間のかかる活動に対する参加否定派の増加、売買目的でマンション購入をする外国人投資家の増加などにより、これまでのように一筋縄ではいかないマンション管理組合の運営に、専門的知識と経験を有する外部専門家の活用が求められるようになっています。

一方で、外部専門家が管理の執行を担う(役員の担い手となる)という点からは、特に、管理規約、管理の委託、修繕、建替え等に関する広範な知識が必要とされます。しかし、マンション管理におけるこのような知識と実務経験を豊富に持つ外部専門家が不足していることも、マンション管理における課題の一つになっています。

そんな中、マンションにおける役員の担い手不足等を背景として、マンション管理業者が管理事務を受託するのに加えて管理者として選任される事例や、新築マンションにおいて、管理業者が管理者に就任することを前提として分譲が行われる事例が出てきました。

・管理業者管理者方式

このような管理方式については、令和6年6月に出された「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」で「管理業者管理者方式」と名付けられました。

そして、この管理業者管理者方式では、その運営方法によっては、区分所有者の意思から離れた不適切な管理、管理組合と管理業者との利益相反の発生、管理業者に支払うコストの増大等が生じるおそれがあることから、その導入の判断にあたってはメリット・デメリットを踏まえた慎重な検討が必要だとされています。

また、こうした検討を経て導入することを決定した場合についても、マンション管理の主体は、当然に、区分所有者から構成される管理組合です。このため、管理者の選任や業務の監督等を適正に行うことができる体制を整備し、区分所有者による管理者に対する適切な監督を行う必要性については、従前のマンション管理組合運営と何ら変わらないことに留意が必要です。

なお、そのような点を踏まえ、管理業者管理者方式を含む外部管理者方式等における留意事項について整理が行われ、従来の「外部専門家の活用ガイドライン(平成29年6月)」が再構成され、令和6年6月に「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」が策定されています。

外部管理者方式等を検討すべきマンション

近年、マンションの高経年化の進行等による管理の困難化や、マンションの高層化・大規模化等による管理の高度化・複雑化が進んでいることから、マンション管理においても外部専門家の活用が求められていますが、外部管理者方式等の導入を検討すべきマンションには以下の2つがあります。

1)理事役員のなり手がいない(一部の区分所有者に負担がかかっている)

2)総会や理事会を開催しても出席者が少ない

1)理事役員のなり手がいない(一部の区分所有者に負担がかかっている)

居住者の高齢化や賃貸化の増加などにより理事役員への就任を断る方が増えると、一部の区分所有者へ理事役員の就任期間が集中してしまいます。一部の方だけに負担が掛かっている状態は、役員を辞めたいときでも引継ぎ者が出てこない限り辞められないなど、不平不満も出てしまい健全な管理体制とは言えません。たまたま総会に出席した新規購入者が捕まって、無理やり理事長にされた事例もあります。

また、理事長や主要役員が長年同じとなることで、管理に偏りが生じることでマンション全体の公平性が保てない、さらには不正の温床になりかねないといった問題が生じます。

2)総会や理事会を開催しても出席者が少ない

総会や理事会の出席者が少ないマンションも、外部管理者方式等の導入について検討する必要があります。特に、総会に出席もせず、議決権行使書や委任状も提出しない方が増えると、決議ができないだけでなく、総会自体が成立しなくなってしまいます。

総会が開催できないということは、管理委託契約の更新や必要な修繕ができず、マンションが陳腐化し、資産価値の激減を招くことになってしまいます。また、議事運営のWEB化対応などへの規約変更もできず時代遅れになっていきます。

特に、賃貸化が進んでいるマンションや、外国人投資家が多く所有するマンションなどでは、喫緊の検討課題と言ってもいいでしょう。

但し、こうした場合でも、マンション管理の主体は、当然に、区分所有者から構成される管理組合です。このため、管理者の選任や業務の監督等を適正に行うことができる体制を整備することを忘れずに。

外部管理者方式等のメリット・デメリット

マンションの高経年化の進行等による管理の困難化や、マンションの高層化・大規模化等による管理の高度化・複雑化の進展に伴って、管理組合役員を外部専門家が担うこととなる外部管理者方式等ですが、その導入にはメリットだけでなく、デメリットも想定されます。

・外部管理者方式等のメリット

  • 区分所有者(管理組合員)の負担軽減:

外部管理者方式等のメリットとして第一に挙げられるのは、管理組合運営にかかる組合員の負担が軽減されることです。

マンションの維持管理には諸々の専門的知識などが必要となります。しかし、管理組合員がその知識や経験を有しているとは限りません。そのために、多くのマンション管理組合では管理会社に管理業務の支援を委託し、マンションの維持管理に努めますが、毎月一回程度の理事会出席や総会準備など、それにかかる管理組合の理事役員の時間や労力は相当のものです。また、苦労の末に提案した議案や取り決めに対して、重箱の隅をつつくような意見を言う組合員がいようものなら、理事役員の精神的負担(ストレス)は計り知れないものになります。

ここで、外部管理者方式等を用いて、外部専門家に役員の担い手となってもらうことができれば、その負担は大幅に軽減されることが期待できます。

  • 専門家による組合運営の適正化:

マンション管理のプロ(外部専門家)が組合運営を行うことで、レベルの高い管理運営が期待できます。

マンション管理の素人集団である管理組合員に比べて、プロが行う実効性のあるマンション管理の質が高いことは外部管理者方式等の導入前提でしょう。

また、住民同士の軋轢等を受けない外部の存在ゆえに、マンション全体の公平性や資産性向上を考慮した決定ができる点でも、組合運営の適正化に資することが期待できます。

  • 意思決定の迅速化

忙しく過ごしている管理組合役員が、休日を返上して行う理事会内での検討や決定ではなく、外部管理者方式等では、マンション管理を専門とする者らが意思決定を行っていくため、より迅速な意思決定が期待できます。

また、管理組合員だけで構成される理事会等では、自分の役員任期中に重要な意思決定をすることを嫌うこともしばしばあり、翌期の役員へ責任転嫁の申し送りがあるなど、本来、必要な意思決定が遅々として行われないリスクも散見されます。こういったケースの対応としても、外部管理者方式等の導入はメリットとなるでしょう。

・外部管理者方式等のデメリット

一方で、外部管理者方式等のデメリットについては、外部管理者方式等の種類について念頭に置く必要がありますが、外部管理者方式等の種類については、上記「外部管理者方式等の種類」で確認してください。

  •  管理会社、専門家に共通のデメリット

・外部専門家への委託費用が発生する(管理組合の支出増)

・外部管理者により、組合員の望まない管理方針が取られる可能性がある

・既存組合においては、外部管理者方式等の導入までの合意形成が難しい

・外部管理者方式等に変更すると、元の理事会方式に戻せなくなる可能性が高い

  • 管理業者管理者方式(管理会社が管理者となる)のデメリット

・管理費の値上げ要請に対して、対抗できない可能性がある

・明らかにおかしい工事や予算組みに対して、対抗できない可能性がある

・管理組合が望まない管理状態になってしまう可能性がある

  • マンション管理士等の外部専門家が管理者となる場合のデメリット

・外部専門家の私利私欲で運営されてしまう恐れがある

・管理会社から推薦された業者や専門家が管理者となる場合、管理組合が望まない管理状態になってしまう可能性がある

このように、外部管理者方式等によるマンション管理組合運営においては、現状の問題を解消するメリットがあると同時に、外部専門家に支払うコストの増大の他、区分所有者の意思から離れた不適切な管理や、管理組合と外部専門家との利益相反が発生する可能性があります。このため、その導入の判断にあたってはメリット・デメリットを踏まえた慎重な検討が必要となります。

また、こうした検討を経て導入することを決定した場合においても、マンション管理の主体は、当然に、区分所有者から構成される管理組合です。管理者の選任や業務の監督等を適正に行うことができる体制を整備することが重要であるとの認識と、区分所有者による管理者に対する適切な監督を行う必要性については、従前のマンション管理組合運営と何ら変わらないことを忘れずにいてください。

外部管理者方式等の想定事例(改悪シミュレーション)

マンションの高経年化の進行等によって、マンションの管理運営が困難とっている場合の対応策としてメリットのある外部管理者方式等ですが、管理組合員が外部管理者に対する注意を怠ってしまうことで陥りやすい改悪シミュレーションを、経緯と問題点(デメリット)を挙げながら考えてみましょう。

事例1)修繕積立金の値上げ

(前提)

・管理方式:管理業者管理者方式

・所在地:東京都内

・築年数:40年(新耐震につき長く住める)

・100世帯

・中古販売価格は戸平均2000万円程度

・修繕積立金は月額1万円

・高齢化が進み、住民の7割が高齢者、そのうち半分が後期高齢者

・理事役員のなり手がいなくなり、管理会社から「管理者やりますよ」と言われて、長年の信頼もあり、委託した。

・今年行った大規模修繕工事で2億2000万円かかり、修繕積立金が足りずに借り入れを1億円実行

(経緯と問題点)

・理事会が無いため、もの言う先が管理会社しかなく、取り付く島もない

・自分たちでどうにかしようとしても、どうしたらいいか分からない

・調べて(総会招集通知には)「1/5で総会だ!」と署名を集めるが、なかなか集まらない

・やっと必要数を集めることができ、「管理者解任の総会をやれ」と管理会社にいったところ、2週間後に総会は開催されたが、議長が管理会社のため委任状の票により否決された

・発起人は再度総会を開こうとするが、他の方が諦めてしまう

・「違法だ!」と弁護士に相談してみるが、「違法ではなく不当レベルで、裁判で勝つのは難しい」と回答される

・修繕積立金の値上げにより、資産価値が減少し、売却も難しくなる

・今更引っ越しもできず、貯金を切り崩す日々・・・

※こんな事例ばかりではありません!

事例2)突然の管理体制変更

(前提)

・管理方式:外部管理者方式(マンション管理士が管理者)

・所在地:リゾート地

・築年数:25年(新耐震につき長く住める)

・200世帯

・中古販売価格は戸平均1000万円程度

・管理委託費は月額8千円

・実住の区分所有者は5%しかおらず、高齢者のみ

・理事役員のなり手がいない。管理会社とは良好だが、理事会を都内で行うこともあり、マンション管理士を探して委託。

・大規模修繕工事を3年後に控え、修繕積立金をためてきた。

(経緯と問題点)

・管理者(外部のマンション管理士)へ連絡するが、「問題ない」の一点張り

・管理会社担当者へ連絡しても、「仕方ないです」としか回答が来ない

・そうこうしているうちに総会招集から2週間が経ち、総会が開催された

・次の管理会社は聞いたこともない小さな管理会社

・管理会社は変更されるが、金額はそのままなのでとりあえず安心か(?)と思っていたら・・・。

・清掃は行き届かず、これまでやっていたサービスは廃止

・未収納金が大量に発生

・大規模修繕工事に合わせて行う予定だった計画工事が突如、個別に開始される

・管理会社に「どうなっているんだ!」と問い合わせたら・・・

・なんと、前管理会社の最後のフロント担当者が担当している

・工事については「劣化が進んでいるので必要です」という回答ばかり。

・変更後1年で管理委託費の大幅値上げ

・「違法だ!」と弁護士に相談してみるが、「違法ではなく不当レベルで、裁判で勝つのは難しい」と回答される

・管理委託費の値上げにより、資産価値が減少し、売却も難しくなる

 (管理費の値上げは、修繕積立金の値上げよりも資産価値が減少する)

・今更引っ越しも、売却もできず、貯金を切り崩す日々・・・

※こんなマンション管理士ばかりではありませんので!!

(その後)

上記にあるような状態を野放しにしておくと、

・管理費や修繕積立金は滞納だらけになり、修繕も管理もできない状況に

・マンションは資産価値を失い、ついには管理者はいなくなり、

・スラム化したマンションに高齢者が残る

さらに、このような状態が各地で起こり続ければ、

・日本中のマンションがこの状態となり、マンションの不動産としての価値は無くなり、

・マンション業界は崩壊。関連する企業も経営不可になっていく

少し大げさな話に聞こえるかもしれませんが、利益相反関係というデメリットが残る外部管理者方式等の導入で、マンション管理業界で「蛸(たこ)は身を食う」といった事態が起こらないように、

・あくまでもマンション管理の主体は管理組合であることを忘れずに、

・専門家を過度に信用することはやめて、適切に監視し続けることが大切だ

ということを、肝に銘じておいてください。

監事の役割、重すぎない?!

近年の、マンションの高経年化と管理組合員の高齢化の進行や、マンションの高層化・大規模化等による管理の困難化、複雑化によって、少なくとも導入するか否かの検討が求められていくのが外部管理者方式等です。

そして、この時に大切なのは、やはり、マンション管理の主体は区分所有者から構成される管理組合だということ。管理者の選任から業務の監督等を適正に行うことができる体制を整備し、これを確実に実行継続していくことが必要になってきます。

その監督機能の主な担い手(役職)は、以下のマンション管理のパターンに合わせると、(1)理事・監事、(2)理事・監事、(3)監事となります。

マンション管理の主要3パターン(国交省「マンション標準管理規約(別添1)」より抜粋)

ここで、(1)理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型、(2)外部管理者・理事会監督型は、理事会が置かれ、監事の監督機能に加え、理事そのものが他の理事や理事長の業務執行を監督する役割を果たしています。

一方、(3)外部管理者・総会監督型は、理事会がないこととされており、外部管理者を監督する役職としては監事しか設けられないことになります。

このため、(3)のパターンにおいては、これまで考えられていた監事の役割を大きく超えたものが求められるようで、令和6年6月に、国交省により策定公表された「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」によれば、特に外部業者管理者方式における監事の役割として以下のようなものが挙げられています。

・管理業者管理者方式における通帳・印鑑の望ましい保管のあり方として、

通帳と印鑑等の同一主体による保管を避けるため、管理組合財産を管理する口座の印鑑等は監事が保管することが望ましい。

・管理業者が管理者の地位を離れる場合のプロセス

管理者の退任が決まった後の新管理体制への移行手続は、監事が担うことが望ましい。

・監事の設置と監査のあり方

監事のうち少なくとも1名は外部専門家から選任し、加えて、区分所有者からも監事を選任することが望ましい。

※例外的に、小規模マンションであり、かつ経済的な理由等により外部専門家を選任しないこともやむを得ないと考えられるときは、➀区分所有者に対する定期的な報告(月1回程度)が実施され、②区分所有者の意思を反映する仕組みが整備されている場合に、区分所有者からのみ監事を選任することも考えられる。

なんとも!

☑ 銀行預金口座の印鑑などを保管する。こうなると、本来、業務執行をする立場にないはずの監事が支払い承認の押印を行うことになるのでしょう。

☑ 管理業者管理者方式においては、そもそも管理者の変更が困難だと考えられている中で、実際に新管理体制への移行手続を監事が担うことができるのでしょうか。

☑ マンション管理組合の資金不足が社会問題となっており、また、マンション管理における専門家不足も謳われている状況下、上記のような重責ある外部監事(外部専門家)へ適正報酬を払い、それに見合った実効性ある監査を受けることができるのでしょうか?

メリットもある外部管理者方式等ですが、その導入には、監事の役割の見直し、外部監事の担い手不足解消、管理組合内での報酬財源の確保といった点においても、まだまだ検討の余地がありそうですね。

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